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TDMの考え方

ナースのための薬物血中濃度モニタリングシステムより
(中原保裕先生 著)

どうして血液中の薬の濃度を測定しながら治療を進めていくことが大切なのでしょうか

(1)毒性、副作用を最小限に、薬の効果を最大限に

一般的には、薬は少量では効きめは弱く、増量していくとその効きめは強くなると同時に、副作用も発現し、さらに増量すると死に至るというコースをたどる性質を持っています。
したがって、薬の効果を最大限に発揮させて、かつ副作用の発現を最小限におさえて使うためには、どの位の量が適切であるかを決めなければなりません。

(2)同じ量を服用しても同じ効果は発揮されない

人によって同じ量の薬を服用しても同じ血中濃度は得られません。実際に図1に示したように、同じ量の薬を服用しても得られる薬物血中濃度は5倍もちがいが生じると言われています。薬によっては30倍もちがいがあるものもあります。

図1 同じ量を服用しても人によって血中濃度はちがう
(喘息治療中、テオフィリンを服用している26人の血中濃度)

(3) 投与量よりも血中濃度の方が大切

薬を投与してその臨床的効果と薬物血中濃度とを比較していきますと、図2のように、ある濃度以上で始めて効果を示す濃度(MEC:最小有効濃度)があり、ある濃度以上では中毒症状を示す濃度(MTC:最小中毒濃度)があることがわかります。そして、MEC以下の濃度を効きめのない領域(非有効域)、MECとMTCの間を副作用の心配がなく、効きめが発揮される領域(有効域、治療濃度)、MTC以上を中毒域と大まかに分けることができます。ですから、薬物を投与する場合、投与中の血中濃度が有効域に維持されるようにすれば、薬を安全にかつ有効に使えるということになります。

図2 血中濃度と効果と副作用の関係

すなわち、いくら投与量が多くても薬物血中濃度がその人の有効域以下では薬効は発揮されず、いくら投与量が少なくても中毒域に入っていれば副作用の発現がみられるということになってしまうのです(図3)。こうしたことから、血中濃度を測定しながら薬物療法を行うことの有効性が認識され、実際に使用されています。「投与量よりも薬物血中濃度の方が大切だ」と言われるのは、こういう理由があるからなのです。

図3 血中濃度で投与量が適切かどうかがわかる

A:中毒域に達しているので中毒症状があれば減量しなければならない。
B:有効域の中に入っているので適切な投与量である。
C:有効域に達していないので増量すれば効果が発現する。